活動レポート

「手書き地図」の魅力を、研究員たちが語り尽くす!!

2013年12月06日

俺たちも、「手書き地図」について語りてぇ。。。

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2013年12月の天気のいい日。

原宿のiki-baに、

「手書き地図」の魅力に取り憑かれた研究員四人が集まった。

ここまでに、山形県天童市、静岡県三島市と「手書き地図」を取材し、作者の熱意を聴かせてもらってきた。

「いい話だった・・・。」

「素敵な話だった・・・。」

・・・

・・・

・・・

でも、

「俺たち研究員にも語らせろ!!!!!!」

もはや衝動を抑えきれなくなった研究員四人が緊急集合することになった。

▼ツーリングマップについて語り出す赤津研究員(写真右)

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足りないピースが何なのかを知りたい!
パズルの話じゃないですよ。地図の話ね。
僕、バイク乗ってキャンプ道具積んでツーリング行くのが好きなんですよ。最近は子供がまだ小さいので、遠出のツーリングには出かけられないんですけどw
で、ライダーなら誰でも知っているような地図があってツーリングマップル(昭文社)っていうんですが、バイブルマップがあるんですね。ベテランライダーさんが実走取材されたライダー目線のオススメのグルメやスポットなどが書き込まれているんですが、もちろんそれが全てではないんですよ。
ツーリングに行くとその地図に自分がツーリングで走った道路や立ち寄ったスポットをさらに書き加えて行くようなことをするんです。ここの蕎麦が美味い!とか、ここのお湯はいい!とか、ここからの景色がヤバい!とか、ここは国道じゃなくて酷道だったとか・・・
そうすると自分だけの地図が少しづつ出来上がってきて、また他の人とツーリングに行った時に、あそこが良かった!とか、ここがイイ!とかいって地図を片手に酒が飲めるんですね。
同じような場所にツーリングに行ってもライダーの見る視点によって、また違った風景が見えてくるので、まさに地図をベースにその人の視点を自分も追体験できるっていう。あれって面白いんですよねー。
なんだろう、「人感」のある作品に地図が昇華していく感じ。絵本というか小説というか物語読んでる感じになっちゃんですよ!地図が!それがまさに僕の手書き地図の原点になっているんだと思うんですよね。
でも難点もあって、地図が改訂されて買い直すと「作品」からただの「地図」にまた戻っちゃうとか、属人的な物語というか、人感という「味」も残しつつたくさんの人と共有したいんだど・・・
それじゃあGoogle Mapの機能を使って来訪したポイントをマッピングすればいいじゃん!ということで実際やってみたんだけど何か足りないピースが出てきちゃう。何なんでしょうね、あの物足りなさって。能登半島の先っぽにある海の見えるキャンプ場のテントの中でシェラフに潜り込んでツーリグマップを開いて、その日走ったり、立ち寄ったりしたポイントを手書きで書き加えていったあの感覚の一部が欠けちゃうみたいな(笑)

もちろんデジタルの良さというのもあって、情報を探したり、整理したり、共有したりするためにはやっぱりデジタルっていいんですよね。

今回このプロジェクトでは、人感とか体温とかアナログの良い部分とデジタルの良い部分をどうやったらうまく掛け合わせられるか?なんてことを頭の片隅に置いてたりするんですよ。

そのために、手書き地図を作っている人達に実際に会って、話を伺い、実際にその地図を片手に現地に行って体験して

足りないピースが何なのかちゃんと因数分解していきたいんですよね。
▼椎名誠について、語り出す川村研究員(写真中央)

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あのさあ、手書き地図の原点の原点は児童書の「エルマーの冒険」の表2、表3に描かれた地図。冒険物語を読みながら地図を見てワクワクした原体験だねー。読み物に描かれている果物とか美味しそうなんだよなー。なんでだろうね。

で、中学を過ぎ高校になって、はっきりと衝撃を受けたのは、ウチの親父が通勤のとき読み終わって置いてあった、「わしら怪しい探検隊」椎名誠ですよ。当時30代のシーナさんが友達と会を(東日本なんでも蹴飛ばす会=略東ケト会)結成して、わっせわっせと無人島でキャンプしてビールを呑み、火を囲んで盛り上がるなんとも単純明快漢感満載な話で、こんな自由でかっこいい大人はいるものだと思ったのでした。それから新刊は漁るように買い、日本津々浦々に攻める作者の視点の面白さ、つい一度本を閉じてじーんとしてしまう優しい視点、バカバカしさに憧れたねー!でそこにもいつも挿絵で沢野ひとしさんのなんとも頼りない線の地図があって、吹き出しがあって最高なわけです。だからね、その独断的に楽しんでいる興奮、熱量が封じ込まれている手書きの地図が俄然気になるのです。

あとね、地図は無いけど「散歩の時になにかたべたくなって」池波正太郎も。良い子のみんなはもちろん読んでいると思いますが、地図=冒険で遠くの場所とは限らないよね。散歩の範囲で色々な楽しい、美味しいもの、文化的な背景を楽しむ事ができるのです。昔の物語の「かけら」としての道具、店、食事、名前などから時空を行き来出来る訳ですね。

僕らは時間は遡る事はできないけれども、それらの物語のかけらを地図に落とし込む事で今でも照らして、たどる事ができる!


開口健も色々あるけど長いから今度ってことで・・・

男も女も家を一歩でたら冒険ですよ。楽しい世界が待っている。物語が、その時間のかけらがある訳だよね!で、日本のどこかで、世界で、情熱を込めて楽しくて、うなされるようにその地図を描いている人がいる。これは行くしか無いじゃない!色んなモノ食べたい、、いや、見たいよね、紹介したいじゃない!

ドン! だろ!だろ!(以下略)

▼カーナビで迷う大内研究員(写真)

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地図好きなんで、クルマでも基本は「道路マップ」。

地図って真北を上に作られてるから、おのずと東西南北になにがあるかを知ることが出来て、眺めればながめるほど広域的に地理に詳しくなっていく。いまいる場所の東に何町があるか、おおよそわかってるから、旅先とかでも歩いてて迷うことはなくて。山の中にいても、あっちは何山、こっちは何岳、みたいなことをパパッと言えるのは、そういう広域的な地図がもともと頭に入ってるからだったり。

ところが、カーナビだといまだに迷う(笑)
おれが知ってる道はそっちじゃねーぞー!みたいな。

なんだろーな、たぶんあの画面からだと、そこに表示されている場所の状況は伝わっても、その先に何があるのかが伝わらないからかなー。さらに、方角が「北固定」じゃなかったりすると、ぱっと見でどの方角に向かっているかもわからなくて、挙句の果てにナビに逆らって、よけい迷宮状態。なのでいまカーナビを使う場合は、「北固定」にはせず、ナビに背かないようにするしかない(笑)

いま思うのは、子どもの頃の原体験だとか、忘れられない原風景に、ものすごくヒントが眠ってるなって。自分で仕事を作らなきゃならなくなってからは、特にあのころのことを思い返してるんだよね。

掘って掘って掘り返していくと、不思議と今悩んでいるいろんなことへつながる点のようなものを思い出して、「あ、おれいいもの持ってたじゃん」みたいになる。その代表的なものが、手書きで作った宝の地図とか間取り図かなと。

たとえば、双六とか将棋には「地図的」な要素がベースにあると思ってて、あの小さな世界の中にも道筋とか座標的位置関係があることがまず面白かった。子どもだからほとんど無意識に遊んでたけど、ぼくが「地図的感覚」に目覚めた最初の体験。

で、それをさらに磨いたのが、RPG(ロール・プレイング・ゲーム)。
どの方向に進路があって、そのためにはどんな力と道具が必要で、武器とか魔法の道具が隠されている場所はここで、ってやつ。攻略本とかがなかった時代は、ステージクリアのためにそういうのを手書き地図とかにしてノートに書いてたくらい。目印とか、自分的な視点で見つけて、マーキングするんだよね、子どもながら。そういう地図的なセンスって、たぶん遊びの中で磨かれたなと。

それと、子どものころ大好きだったのが、マンションとか戸建の住宅間取り図。毎日のように新聞に入ってくる広告を楽しみにしてて、何度も見ているうちに「自分の秘密基地」の間取りを描きたくなって、これまたノートに書いて。

RPGの地図にしても間取り図にしても、そういう頭の中のことを図とかで可視化する作業って、子どものころにはすごくやってたと思うんだ。RPGの地図なんて、友達からすれば「宝の地図」なんだけど、ぼくの視点でかいてるから、相手は理解できなかったりして(笑) そこが属人の面白さかなあ。ぼくにとっては正しいのに、人によってはまったく正しくない感じ。全員に理解できる標準化された地図じゃなくて、その人にしか理解できない偏った視点と表現による地図

そういう、どこかの誰かが描いた地図をちょっと見せてもらって、それがなんの地図なのかを解き明かす楽しみのようなことが、この「手書き地図推進委員会」の活動の中でできるといいと思ってる。あるいは、その地図を片手に実際に歩いてみて、その人がどんな目線でそんな地図にしたのかを想像してみるとか。きっと「正しい地図」では体験できない、手書きならではの味わい深い追体験ができると思うんだよね。

▼「憧れの人の視点を追体験」について語る跡部研究員(写真右)

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みんなの話を聞いていて、あらためて思い出したのが、植草甚一さんの「ぼくのニューヨーク地図ができるまで」という本。

小学校高学年から中学生の時って、背伸びしたいじゃないですか。
その中でも植草甚一さんって、
既存の職業にはまらない粋な大人の代表だったわけです。僕にとって。
古本屋と中古レコード屋を巡る散歩をして、喫茶店でコーヒーでいっぷく、という。

同じニューヨークという場所でも、人によって体験すること
見えているもの、面白いと感じるポイント、出会う人が違ってくる。
彼の地図ができるまでには、ものすごい歩数をかけている。

だからこそ、植草甚一さんによって描かれた地図は
「植草甚一さんの目を借りる」ことができる貴重なツール。
憧れの人が何に注目して、何を無視したのか?
それを追体験して、現実を味わうことができるのが、“個人地図”の熱いところ

もちろん、現在のニューヨークは、植草甚一さんが散歩していたころとは違う。けれども、今は自分が「植草甚一さんの視点で今のニューヨークを見たとしたら・・・」というテーマで地図を書くこともできる。

そして、今後はテクノロジーとこの“個人地図の視点”が合体していくと
もっと面白くなっていくでしょう。Google glassに一番必要なのはこれだと思うけどなぁ。

とはいえ、デジタルの世界にはまだまだこの“人くさい”視点が上がっていない

だから、僕らは豊かな「選球眼」を持った、各地にいる手書き地図作者を訪ねてこの素晴らしい世界遺産を後世に繋ぐための活動をやっているんだ!!!!

もう、これは現代の新しい民芸運動ですよw
日常の、身近なものにこそ、素晴らしい視点が隠されているんですよ。
ますます、各地をまわらなくちゃ。

▼空回りするほど熱い四人が「手書き地図」を取材します

ここまで辛抱強く読んでいただいた方は、すでにお気づきだと思いますが、これ四人で集まって話す意味があったのでしょうか?

他の人の話を聞いてるのでしょうか??

それぞれが自分の溢れる想いを語りつくすややこしい男四人。この四人が各地に行って、自分で創った地図を愛する同志を取材してまわります。

そんな無駄に熱量の高い「手書き地図推進委員会」をよろしくお願い致します。

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レポート:跡部 徹

投稿日:2013年12月06日

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