活動レポート

長野・佐久「望月芸術祭」のありのままを伝える、公式“手書き”ガイドマップ

2014年02月09日


大内 征
レポート:大内 征

2013年8月。長野県佐久市の旧望月町地区で行われた「望月芸術祭」が好評のうちに幕を閉じた。初めての地域的な取り組みとなったこのアートフェスティバルのガイドマップは、他でもない「手書き地図」だ。

初めてこの町を訪れた人に、望月のいいとところ、面白い人を知ってもらいたい。そんな願いから生まれた手作りのガイドマップについて、望月芸術祭実行委員会の高塚裕士さんにお話をうかがった。

尊敬できる町のスペシャリストたちのために、自分は“黒子”となる

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「最初はぼくも意気込んで、“自分でこの町を変えていくんだ”って思ってたんですよね。」そう言ってはにかむ高塚さんは、埼玉県に生まれ育ち、この町にある祖父の家に移住した。当初は、子どものころから所縁のあるこの町を、どうしたら盛り上げていけるかばかりを考えていたという。以来、自ら営むカフェをハブとした地域交流の機会や情報交換の場を作り続け、2013年には仲間とともに“地元の人による芸術祭”を企画することになる。ところがその頃になると、当初の“自分が変えるんだ!”という意気込みではなく、あくまで自分は“黒子”となって町を盛り上げるというスタンスに変わっていたという。
「ここにはたくさんの尊敬できるスペシャリストがいて、その人たちがあって町ができているんですよね。だったら、その人たちが思いっきりいい仕事ができて、笑っていられる場所を作る側にいた方が、町を動かす一助になれると思ったんです。」

 ▼芸術作品を見ながら、町そのものを巡ってもらうために

望月の人たちが活躍できる場作り、それが「望月芸術祭」を作っていく上での礎となる。それには、まず自分がこの町の魅力を再確認する必要があると、望月の商店街を一軒一軒たずね歩いた。あらためて多くの人と触れ合うことができ、魅力確認には大きな収穫となった。そして、芸術祭を盛り上げたい一心で“情報を飾ってしまう”のではなく、その様子をありのままに伝えることの方が、町の面白さが表現できる、という結論に至った。
「その“ありのままの表現方法“として最適だったのが、手書き地図だったんです。」

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結果的に、その一軒一軒に自ら挨拶したことにもなり、その後の芸術祭の準備や地域連携がスムーズになったことは言うまでもないだろう。その後、テーマ別にいくつかの手書き地図を作り、会期中にこの町を訪れた人の“名ガイド役”として活躍した。

▼「望月」という言葉にこめた願い、「ミチルト」

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ところで、この手書き地図の表紙には「ミチルト」と記されていている。この意味合いがとても良い。

もともと「望月」という言葉には「満月」という意味がある。新月から満月まで月が満ちていくように、人の気持ちもこの町も満ちていくという思いを込めて、「“満ちると”、この望月はどうなっていくだろう」という願いから「ミチルト」というコンセプトワードになったそうだ

2005年に周辺の浅科村、南佐久郡臼田町とともに佐久市に合併した望月は、古より「望月宿」として栄えてきた。中山道六十九次の中で、江戸から二十五番目の宿場町だったらしい。そんな古い町に点在する“望月らしさ”をありのままに表現したテーマ別の手書き地図には、それぞれに月のイラストが入っており、すべて並べると新月から満月まで月が満ちていく様子になっている。手書き地図の温かさは言うまでもなく、こんな挿絵のさりげない意匠にも、自分たちが住む町への深い理解と愛が、じんわりと滲んでいた。

取材・文・写真 大内 征(手書き地図推進委員会 研究員)

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投稿日:2014年02月09日

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